ブラジル?レアル相場の現状と見通し

  • マーケットレター
  • 2020年07月
コロナ前後の変化を踏まえて
ポイント
  • ブラジル?レアルは年初から大きく下落、5月半ば以降は方向感に乏しい動き
  • 金融市場からの資金流出ペースが鈍化し、レアルの売り圧力が和らぐ
  • 新型コロナウイルス問題が経常収支を改善させる要因に
  • 通貨安によるインフレ懸念は乏しく、中銀の緩和的な政策などがレアルの上昇を抑制

ブラジル?レアルの下落は一服

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によるリスク回避姿勢の高まりや資源価格の下落などを背景に、ブラジル?レアルは年初から5月半ばにかけてほぼ一本調子で下落しました。また、ブラジルにおける新型コロナウイルスの感染拡大が急速に進んだこと、同問題に対するボルソナロ政権の対応に賛否が分かれ政治リスクの高まりも意識されたこと、インフレ懸念が乏しいために中銀が利下げを継続できたこと、などが他通貨と比較して下落率が大きくなった要因だと考えられます。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中でも、レアルは5月半ばから反発、足元では方向感に乏しい動きとなっています。以下では、レアルの下落に歯止めがかかった背景を資金フローの観点から洞察し、今後の見通しを整理します。

ブラジル?レアルの対円?対米ドルレート(2019年1月初から2020年7月15日)

金融市場からの資金流出が和らぐ

レアルの下落が一服した要因のひとつとして、海外投資家によるレアル建て金融資産の売却が一巡したことが挙げられます。例えば株式市場では、昨年10月の年金改革法成立以降、当面の好材料出尽くし感から資金流出が続き、新型コロナウイルス問題によってその流れが加速しました。しかし、足元では資金流入に転じたとは言えないまでも、資金流出のペースは鈍化している状況です。

海外からブラジル株式への資金フロー (2019年1月初から2020年7月13日)

新型コロナウイルスの感染拡大

次に、経常収支に伴う資金フローを確認するために経済活動について整理します。
日本でもよく報道されている通りですが、ブラジルにおける新型コロナウイルスの感染状況は深刻です。累積感染者数は7月15日時点で196万6,748人と、米国に次いで世界で2番目の多さになっています。

ブラジルの新型コロナウイルス感染?死亡者数(2020年3月10日から2020年7月15日)

政府は経済優先の姿勢を崩さず

ボルソナロ大統領は、新型コロナウイルスを「ちょっとした風邪」と軽視する発言などが批判されていますが、ウイルス封じ込めのために経済活動を止めれば、雇用が失われ生活に困窮する人が増えるのは必至であり、経済を回さないといけないという事情もあります。
経済活動は4月にかけて著しく縮小しましたが、感染拡大が続く中でも経済活動は徐々に回復しています。5 月の小売売上高は、前年同月比▲7.2%と、最も落ち込みの大きかった4月の同▲17.1%から持ち直しの動きがみられます。鉱工業生産も、4月の前年同月比▲27.3%から5月は同▲21.9%と、小幅ながら改善しています。より速報性の高い自動車生産台数やマークイット製造業PMIは6月に一段と改善しており、経済活動は4月をボトムに回復に向かっていると判断できます。

ブラジルの小売売上高と鉱工業生産(2006年1月から2020年5月)

景気回復は相対的に遅れる

経済の最悪期は脱したものの、新型コロナウイルス問題が収束する目処が立たないことや、相対的に財政拡張余地が乏しいことなどから、先進国や中国に比べて景気回復は緩慢になると想定せざるを得ません。また、IMF(国際通貨基金)によると、ブラジルの実質GDP成長率は、2020年に▲9.1%と大きく落ち込んだ後、2021年においても3.6%しか回復しない見通しになっています。

各国の実質GDP成長率(2006年から2021年)

経常収支が改善

ブラジルの経常収支は今年3月から黒字が続いています。背景として、世界的に経済が低迷しているにもかかわらず貿易黒字が続いていること、国をまたいだ移動制限などによってサービス赤字が縮小したこと、また所得収支の赤字幅が縮小したことがあります。

ブラジルの経常収支(2016年1月から2020年5月)
(出所)ブラジル中央銀行
ブラジルの貿易収支(2006年1月から2020年6月)
(出所)ブラジル開発商工省

貿易黒字の理由は、先に述べた国内経済の低迷によって輸入が落ち込んでいることです。直近6 月のデータでも、輸出額は179億米ドル(前年同月比▲2.7%)と持ちこたえているのに対し、輸入額は104億米ドル(前年同月比▲19.8%)と低迷しており、輸入の減少を主因に貿易黒字が拡大している状況です。今年後半、来年と、主要な貿易相手国である中国や米国に比べて、ブラジルの景気回復が緩慢になる可能性が高いことから、当面は輸入の低迷を背景とした貿易黒字基調が継続すると考えられます。また、新型コロナウイルス問題が収束する目処が立たない中では、国をまたいだ人の移動が制限され続ける可能性が高く、サービス赤字が抑制された状態も継続しそうです。所得収支については、債券の利払いタイミングなどによって月次の変動は大きいですが、景気回復が緩慢な中では企業の配当金が抑制されることが見込まれるため、例年に比べて赤字幅が縮小した状態が続くと思われます。
したがって、当面は経常収支が再び赤字基調に戻る可能性は低いと考えています。

インフレ懸念は乏しい

年初からの大幅な通貨安やサプライチェーンの混乱によるインフレ圧力は、資源価格の下落や需要の低迷によって相殺され、インフレへの懸念は乏しい状況です。通貨安が進む中でもブラジル中銀が利下げを続けることができたのは、このような背景があったためです。更なる利下げ余地は乏しいと考えられますが、来年を通してもインフレ率が目標レンジを上回る可能性が低いため、緩和的な金融政策は継続されることになりそうです。

ブラジルの政策金利とインフレ率(政策金利:2016年1月初から2020年7月15日) (インフレ率:2016年1月から2021年12月)

中銀の対応はレアル上昇を抑制

インフレ率が安定していたため、年初からの通貨安に対する中銀の為替介入は限定的なものにとどまりました。外貨準備高は減少しましたが、レアルの下落を止めるというより、下落を緩やかにする程度でした。
そして、レアルが反発した5月は、金融収支で準備資産のフローがマイナス(外貨準備高の積み上げを意味)となっており、外貨準備高を回復させたい様子もうかがえます。これは、レアルの持続的な上昇を阻害する要因になると考えられます。また、今後レアルが下落する場面があっても、インフレ懸念が台頭してこないのであれば、ブラジル中銀による通貨を支える動きも積極化しない可能性が高いと想定されます。

ブラジルの外貨準備高(億米ドル) (2006年1月初~2020年7月14日)

そして、レアルが反発した5月は、金融収支で準備資産のフローがマイナス(外貨準備高の積み上げを意味)となっており、外貨準備高を回復させたい様子もうかがえます。これは、レアルの持続的な上昇を阻害する要因になると考えられます。また、今後レアルが下落する場面があっても、インフレ懸念が台頭してこないのであれば、ブラジル中銀による通貨を支える動きも積極化しない可能性が高いと想定されます。

ブラジルの金融収支(2016年1月~2020年5月)
(出所)ブラジル中央銀行

レアルはおおむね横ばい推移を想定

以上の通り、証券投資による売り圧力が和らぎ、経常収支も改善しているため、これらの要因が変化しない限り、レアルが大きく下落する可能性は低いと考えられます。一方、インフレ懸念が乏しい中ではブラジル中銀が通貨安を警戒する可能性も低く、また海外からブラジルへの投資が大幅に増加するような経済状態ではないことなどを勘案すると、レアルが持続的に上昇する可能性も低いと考えられます。
加えて、世界経済の先行きが依然として不透明であり、金融市場のボラティリティも高止まりしていることを踏まえると、当面のレアル相場は、対米ドルで5~6レアル(米ドル円を107円で固定して計算した場合、対円では17.8~21.4円)のやや広いレンジの中で、おおむね横ばい圏で推移する展開を想定しています。

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